9月のお知らせ
【受付時間】
• 10時~17時(最終16時)
【休診日】
日曜、祝日はお休みです。
9月27日(金)、28日(土)
記載以外に休診となる場合があります。電話予約の際にご確認ください。
長らく変則的な日程となっておりましたが、今月より通常診療となります。
ご協力ありがとうございました。
《感謝》
先月、父はみんながぐっすりと眠っている間に
すっと静かに旅立っていきました。
ほんとうに、びっくりするほどきれいな顔でした。
私はずいぶん前からインド古典で有名なヒンドゥー教の教典『バガヴァッド・ギーター』を手にしていましたが、あまりの難解さにまったく読み進めることができませんでした。
父が約一年半前に介護施設に入居したころ、なぜかもう一度バガヴァッド・ギーターを読んでみようと思い立ちました。
それから、静かな瞑想会にも通い始めました。
まずは初歩的なサンスクリット語の用語解説で聖典に関する基本的概念に目を通しました。
それから、挫折しかけていた〈上村勝彦訳『バガヴァッド・ギーター』岩波文庫〉以外に、とにかくわかりやすく読みやすい翻訳本を探して読んでみました。
ギータ―は登場人物が、神や人間と多彩なうえ、内容は親族闘争を描いた叙事詩です。
しかしギータ―を読んでいくうちに、あることに気がつきました。
当時は父の介護や日々の生活、そしてコロナ禍という特殊な環境の中、気持ちの余裕がなくなり虚無感や焦燥感を覚えることも時にはありました。
ところがその度に、『バガヴァッド・ギーター』から 私の心配や不安を消し去ってくれる力強いことばが発せられてくるのです。
ギータ―はヨガの真髄を説いている教典ですが、ヨガ、瞑想には呼吸の制御が重要です。
父は呼吸器を患っていたので、常に<呼吸苦=死>の恐怖が身近にありました。
父は何度も臨死体験をしましたが、その間は肉体の重力や呼吸の苦しみを感じることなく、至福の時間を味わっていたようです。
父の話を聞いてヨギの瞑想時は、この状態に近いのではと思うのです。
そのころ、私は三冊目の翻訳本を読んでいたのですが、
書名は〈田中嫺玉訳『神の詩 バガヴァッド・ギーター』TAO LAB BOOKS〉
この本は、ルドルフ・シュタイナーの研究者、高橋巌氏が最良の訳書として紹介しているということで興味がそそられたのです。
訳者田中嫺玉氏(1925-2011)、北海道旭川市生まれ。
なんという偶然。
そう、父は6年前に旭川から娘の私のところにやって来ました。
しかも嫺玉さんが卒業された高等女学校の跡地に私が卒業した中学校が建設されていたことがわかりました。(ちなみにこの女学校は小説家の三浦綾子さん、詩人の知里幸恵さんも卒業生)
きっとさまざまな理由があり、父の見送りをこの本が助けてくれていたと感じています。
多くの解説にもあるように、この書には、現実生活の中で社会の義務を果たしつつ、普遍的な霊的真理を探究することで、世界の平和と調和を図ることに意義があると説いています。
私がバガヴァッド・ギーターを完全に理解することはかなわないことかも知れませんが、その一端を垣間見ることができたのは間違いなく父のおかげです。
ありがとうお父さん、またね!