8月のお知らせ
【受付時間】
• 10時~17時(最終16時)
【休診日】
日曜、祝日はお休みです
ただいま、平日の休診日は不定休となっております。
お電話、ご来院時にてお確かめください。
ご不便をおかけいたしますが
何卒ご理解のほどお願い申し上げます。
《そろそろ残暑》
治療院を開業して今年で9年目。
父は6年前に故郷の北海道から私の住まいの近くに転居してきました。
きっかけはその年の冬、父が除雪作業をしているときでした。
除雪機が雪の塊に乗り上げて横倒しになったのですが、機械を立て直そうとしましたが力が入らない。
そのうち父は呼吸困難で動けなくなり、ご近所の助けで救急車を呼んでもらい緊急入院をしました。
もともと持病の呼吸器疾患があって自分で通院していましたが、私たち家族は父の車の運転も心配していました。
一人で雪国の暮らしは限界ではないかということで、父をこちらに呼び寄せたのです。
当時、私は開業三年目。
経営もやっと安定してきたところで、これから5年、10年先に向けての方向性を考えていた時期でしたが、現状維持を念頭に置くこととしました。
幸い家族が協力的で支えの基盤がしっかりしており、大きな問題はなかったのですが、二年目に夫の海外転勤、そして三年目に新型コロナウイルスの世界的な流行が広がり、生活が一変しました。
息子たちも社会人、大学生となりそれぞれの活動で忙しくなり、私はほぼワンオペで父の生活サポートと仕事を両立していましたが、次第に父の身体も衰えてきました。
在宅酸素療法を行うようになり、入浴や移動も難しくなってきて一年半前に老人ホームへ入居。
とても居心地がよく、父の笑顔や会話が格段に増えて、スタッフの皆さんには本当によくしていただきました。
そして今年に入って急激に体調を崩し、最期を覚悟した入院を経て、現在24時間の医療体制で看護を受けながら緩和ケア施設で暮らしています。
父本人がどのように考えているのかわかりませんが、もし私だったら理想の晩年のような気がします。
人間はひとりで生まれてひとりで死んでいくわけですが、その人生の中でどれだけの人と関わりをもって過ごすのでしょうか。
私だったら「ありがとう」と伝えたいひとたちの数は想像もつきません。
最後は骨となり、粒子となり、この世の肉体は消えてなくなります。
人間はいづれ消えていく肉体や物質的な欲求に翻弄されながら生きています。
その執着や願望を手放すとき、私たちは目に見えないものや自然の懐に包まれ、守られていたことを知るのかもしれません。
私はたぶん、もうしばらく地上に滞在する予定ですが、それに気づかせてくれた父には心から感謝を伝えたいと思います。
(って父、まだ大丈夫ですが)