太古の息吹
先日、父の安否確認で北海道に帰省しました。老いを重ねる父にとって、冬の暮らしは年々厳しさを増しているようです。実家の裏の畑から望む日の出。樹木のむこうには大雪山が連なります。この時期、まもなく雪原に灰色の融雪剤が撒かれ、美しい白さは失われます。しかし長い冬の終わりを告げるその光景を父は安堵して眺めるのでしょう。
そして私たち家族は道北の実家をあとにして、登別温泉のすぐ近く、白老町へと向かいました。宿泊先の宿海の別邸 ふる川 | 北海道 白老の温泉旅館は眼前に太平洋が拡がる素晴らしいロケーション。
(宿のHPより画像拝借)
今回の帰省でどうしても訪れたかったのが、ここ白老(しらおい)の地。白老の歴史は8千年前の縄文時代までさかのぼります。写真、ホテル眼下の海沿いから続くアヨロ海岸一帯の虎杖浜地区ではアイヌ文化の遺跡が多く発掘されています。5千年前の縄文時代前期、3千年前の純文時代晩期の土器等が出土され、太古の息吹を間近に感じるエネルギーに満ち溢れた場所なのです。縄文時代に並々ならぬ憧れを抱いている私にとってはまさに聖地!
アヨロ海岸にはアイヌ語でアフンルパロ(あの世の入り口)とよばれる洞窟があるそうです。昔、昆布拾いをしていたおじいさんが、亡くなったはずのおばあさんを浜で見かけて声をかけたが、大きな岩穴に入って消えてしまった。という言い伝えがあるそうです。黄泉の国のようなお話です。残念ながら時間がなくて行けなかったのですが、次回はぜひ訪れてみたいです。
ホテル館内には縄文土器や丸木舟などが飾られ、ラウンジの華美でない重厚な家具や囲炉裏、書棚がよい雰囲気。そしてここでは時間ごとに違うフリードリンク、こだわりのヨーグルト、食前酒、食後のホットワインのサービス、豚汁などが次々と振る舞われ、とても居心地がよいのです。おすすめのホテルですよ!
部屋のテラスから太平洋を一望。今年は母の13回忌。父、元気でね。
東京世田谷区用賀/東急田園都市線 用賀駅徒歩4分