年頭所感2020
今年で当院は開業して五年目を迎えます。思い返すとあっという間でした。
開業前は毎月数回の勉強会等で研鑽を積みながら、経絡治療の鍼灸院で院長のアシスタントを務めていました。
その当時とひとり立ちした現在の大きく違うこと。
これまでの学ぶ場や師は学会であり、鍼灸の先輩達でしたが、加えて今はこの小さな10坪ほどの治療室、そこに訪れてくださる皆さんが私の師であります。
鍼灸の効果は鍼を打つだけでは発揮できません。
患者さんのお話に耳を傾け、体の不調だけではなくその方の環境や心情に寄り添い、いまここにおられる患者さんに必要な鍼を施すことが大切です。
それは多すぎても少なすぎてもいけません。すぐに大きな変化を求めようとすると体に負担がかかってしまうのも鍼治療にはよくあることです。
これを東洋医学では「証に随って(したがって)治療する」という意味で随証療法(ずいしょうりょうほう)というのですが、画像診断でも数値を見るのでもなく全身状態を診て触れるだけで即断、即治療となるのですから鍼灸師の一生の課題ともいえます。
総合的な判断を瞬時に行うのはとても難しく、すでに私がその域に十分達していると胸を張って言えるのはまだまだ先。
とはいえ、5年前の私にはこの経験がなかったわけですから、たくさんの皆さんとともに歩んだこの数年が大きな学びの成果になっているはずです。
鍼灸この道ウン十年の大ベテランには遠く及びませんが、なんとなく佇んでいる用賀の小さな鍼灸院がぴったりフィットする患者さんもいらっしゃると思うのです。
ちょっと変わった鍼灸院ですが、気になった方はぜひ当院へお越しください。
どうぞ本年もよろしくお願いいたします。